特に東京電力の発電所が大きな被害を受けたことで、首都圏でも未曾有の計画停電に突入してしまいました。
その後、被害火力発電所の復旧や、休止中火力発電所の再起動、また企業保有発電所からの買電などでどうにか電力不足も解消されていますが、夏場の電力需要ピークには再び電力不足が起こりそうな予感です。
ということで、川崎臨海部の発電所たちを「心の中で励ましに」行ってきましたw
余震が続く4月2日と10日の記録です。
より大きな地図で 2011/04/02 川崎の発電所 を表示
まずは、JR川崎駅から市営バス川10系統水江町行きに乗り、水江公園へ。
公園とは言っても海沿いに細長く整備された岸壁、という感じですが、京浜運河を一望できる絶景ポイントでもあります。

(2011/04/02 16:39) PENTAX K-5 + FA77mmF1.8 Limited
北方向を見ると、東京電力川崎火力発電所の1号系統煙突が船の左隣にかろうじて見えています。
戦後の高度成長期を支えた古くからの火力発電所で、6本煙突の発電所は京浜工業地帯のシンボルでした。
この1号系統は旧火力発電所跡地で2007年6月に運用開始したばかりの最新LNG火力発電所で、国内最高レベルの発電効率を誇り、出力150万kWあります。
さらに発電に使用したあとの蒸気を、川崎スチームネットという蒸気配管システム(神奈川臨海鉄道千鳥線の東群線跡)で千鳥町や夜光町のコンビナートへ供給し、再利用できる仕組みになっています。
2号系統192万kW(計画時150万kWですが、効率見直しなどで192万kWにパワーアップした模様)も建設中。

(2011/04/02 16:38) PENTAX K-5 + FA77mmF1.8 Limited
水江公園の真正面、京浜運河を挟んだ至近距離には、東京電力東扇島火力発電所があります。
1987年9月運用開始の新しいLNG火力発電所で、出力200万kW。
ここのLNGプラントからは、川崎火力発電所や横浜火力発電所へ天然ガスを供給しています。
水江公園からはさらに南方の発電所群も見えているのですが、距離が遠いので、場所を移動します。
再び川10系統のバスに乗って私立川崎高校前バス停まで戻り、道路反対車線側のバス停から川13系統扇町行きバスに乗り換えます。

(2011/04/02 17:17) PENTAX K-5 + Sigma 30mm/F1.4 EX DC
川崎区扇島もまた「発電島」です。
バスの終点、扇町バス停で下車して少し歩くと、川崎バイオマス発電所が見えてきます。
2011年2月に運転開始されたばかりの最新・国内最大バイオマス発電所で、出力3.3万kWです。
バイオマス発電所とは、CO2の吸収量と排出量が等価になるような環境を考慮したシステムのことで、産廃木材などをチップ化して燃焼・発電しているそうです。

(2011/04/02 17:32) PENTAX K-5 + FA77mmF1.8 Limited

(2011/04/02 17:34) PENTAX K-5 + Sigma 30mm/F1.4 EX DC
道路をJR扇町駅方向へ10分ほど歩いて行くと、川崎天然ガス発電所があります。
2008年4月に完成したばかりのLNG火力発電所で、1号機2号機あわせて84万kWの出力。
JX日鉱日石エネルギーと東京ガスの合弁。

(2011/04/02 17:38) PENTAX K-5 + FA77mmF1.8 Limited
そして、JR扇町駅の線路の先には、計画停電でも有名になったJR東日本川崎火力発電所があります。
この火力発電所は極めて歴史の長い施設で、何世代も改良・増設が繰り返され、現在は1号機(灯油)、2号機(都市ガス)、3号機(天然ガス)、4号機(重油)あわせて65.6万kWの出力があります。
首都圏JR線の半分くらいの電力をまかなっている計算です。
天然ガス使用の新しい4号機が建設中。
JR鶴見線海芝浦駅へ行きます。
ここは目前に運河や工業地帯を一望できる有名な絶景ポイントで、関東の駅百選にも選ばれています。

(2011/04/10 17:02) Leica M8 + Apo Summicron 90mm
さてホームから北方向を見ると、東京電力東扇島火力発電所が見えます。
そのすぐ右手に大きな風車が見えていますが、これがJX日鉱日石エネルギー(旧新日本石油)扇島風力発電所です。
2010年3月に運用開始したばかりの新しい発電所で、出力0.2万kW。
さらに右手に大きな煙突が見えますが、これがJFEスチール東日本製鉄所(旧京浜製鉄所)扇島火力発電所のはずです。
4機で43万kWの出力があります。

(2011/04/10 17:05) Leica M8 + Apo Summicron 90mm
ホームから京浜運河を挟んだ真正面、鶴見大橋に隣接して、東京ガスと昭和シェルの共同出資である扇島パワーステーションがあります。
2010年3月に運用開始したばかりのLNG火力発電所で、1, 2号機合計81.4万kWの出力。
3号機が建設予定で、40万kWです。

(2011/04/10 17:10) Leica M8 + NOKTON 35mm F1.2 Aspherical
ホームから南側を見ると、駅舎の屋根の上に2本の似たような煙突が見えます。これが東京電力横浜火力発電所です。
1〜4号機は廃止されてしまい、現在は古い5, 6号機の52.5万kWと、新しい7, 8号機の280万kWの出力があります。
この他にも、水江町には東亜石油のガス火力発電所30万kWや、東燃ゼネラルの川崎工場3.3万kWなど、東京電力に対して売電している企業発電所もあります。
浮島太陽光発電所0.7万kWと、扇島太陽光発電所1.3万kWという2つのメガソーラー太陽光発電所の建設も進んでいます。
重化学コンビナートのまっただ中ということで火力発電所が多いのですが、近年は風力や太陽光などの自然エネルギー発電所もどんどん進出しています。
ということで、川崎臨海部に立ってぐるっと辺りを見回すと、それだけで総出力1000万kW弱も発電されていることになります。
夏までには川崎火力発電所にガスタービン発電機が増設される予定で、さらに将来の増設計画では合わせて240万kW以上が追加されることになります。
対岸の京葉臨海部にはもっと大出力の発電所群が目白押しですから、東京湾岸はとにかく大変なエネルギー地帯です。